2019年37冊目。

刺激に満ちあふれた本でした。世界の仕組みが、あらゆる側面において大きく急速に変化しているこの時代。
マイケル・ハートは、地球、資源、知識など全てのものを資本から取り戻し、人間が自ら管理していくという「コモン」を提唱し、マルクス・ガブリエルは人類の持つ普遍的原則による倫理によって、相対主義の悪弊から逃れるべきであると主張し、ポール・メイソンは、壊れていく資本主義に取って代わる世の中について、AIをコントロールするためのヒューマニティを中心に据えなければならないとの説を展開している。

インタビュアーの斎藤氏は左派に軸足を置いているので、保守や右派の主張をやや軽視する傾向があり、その点を差し引いて読んだ方が良いと感じた。

読後の感想は「リアルもフェイクも両方の情報が溢れかえり、それに突き動かされた言動をする人が周囲に増えている。こんな時にすべきことは、①事実を知った上で騒いでいるあるいは騒いでいない人に対しては、個人の自由なので、それを侵さないようにする。②事実を知らないで騒いでいる人には、冷静に事実を伝えることだけを考えて行動する。③事実を知らないで、騒いでもいない人には、働きかけることはほぼ必要がない。」ということです。