2019年28冊目。
著者である稲垣麻由美さんから頂戴して、読み始めたところ、あっという間に引きずり込まれて読了。
癌を患っている方、その家族や親しい方、看護や介護に当たる方、そして誰でも、読んで知ってほしい内容です。

精神腫瘍医である清水先生の患者のメンタル面へのサポートによって、絶望の淵にいる人が希望の灯りを見いだし、一歩踏み出すまでとその後が、綿密な取材によって書き上げられています。

告知されたときには、敵だと思い退治しようと思った相手を、自分の一部として受け入れ共に生きていこうとする、何人かのそのような姿が描かれています。その力になる清水医師の献身とともに。

この本を書くにあたっては、緻密な取材と客観性が求められたことでしょう。優しさを持ちつつも、相手の感情に飲み込まれてしまわないで、少しばかり距離を置いたところに立って書かれた文章は、読む者の頭と心に沁みてきました。