2019年19冊目、20冊目。

HBRが今月号で特集している「セルフ・コンパッション」は、VUCAな環境でビジネスに携わる人にとっては、非常に重要な考えである。
日本の高度経済成長からバブル期にかけて「明日があるさ」という呟きが、失敗や挫折から立ち直るためには効果的だった。ここには、明日は今日より良い環境になるという夢のような思い込みがあり、またそれが現実化することが多かったからだ。
しかし、現在は、そのような状況はありえず、明日は今日より激しく変化し、不確実さが増し、より複雑になり、より不明瞭になるのだから、失敗や挫折から立ち直るのは至難の業になりかねない。

そこで効果的なのが「セルフ・コンパッション」なのだ。失敗や挫折をしてしまった自分自身に、寛容さを示し、状況を理解し、次につなげるように励ますことだ。この「セルフ・コンパッション」を高める方法として、マインドフルネスがあり、そこから自分自身で、いつでも比較的簡単に実施でき、様々な状況に対応できる方法がACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)である。

思えば私は、2002年に起業して以来、様々な失敗や挫折を経験したが、そのたびに心の中で唱えていたのが「これでいいのだ」だった。この言葉は、自分の「セルフ・コンパッション」を高め、ストレスから逃れさせてくれる魔法の言葉だったと、改めて思った。