2019年13冊目。

2017年に行われた「WIRED哲学講座」が書籍になった。岡本裕一郎氏のリードの本で、「人工知能」「バイオサイエンス」「資本主義のゆくえ」の3つのテーマについて、課題図書の解説、それから出されたテーマについてのディスカッション、その道のオーソリティの講義と質疑、岡本氏の総括で構成されている。

どのテーマも様々な論議を引き起こしているものなので、興味深くかつ考えさせられる内容だった。

人間による社会構成主義はAIのネットワークに取って代わられる可能性が高いのは、ハラリが「ホモ・デウス」で警告しているとおりだが、もう一つジルー・トゥールズの「分人主義」が出てきて、「人間は個人であると同時に、様々なデータとして記録された文人でもある」ということ、そして個人を一つの単位とするシステムを再検討する必要が出てきているという、問題提起に唸ってしまった。