2020年読了13冊目。読書もしていますということで。
 
日本文化に関する考察については、現在では松岡正剛の右に出る人はいないと思う。この本でも、16の観点から日本文化について考察がなされている。これらの観点は彼がこれまで様々な著作や講演で持ち出してきたものがほとんど。
 
その中で首肯した観点が「経世済民」での、日本の国家権力の在りかにについての考察。
カレル・バン・ウォルフレンの著作を元にして提示されるのが「日本の権力は極度に非政治的なプロセスでできているのだろう。そのシステムは欧米が規定してきた権力機構のしくみではなく、すなわち議会や内閣や官僚が制度的に掌握するのではなく、複合的なアドミニストレーター(管理者)によって連関的に体現され
ているのだろう」という考察。
 
今回の新型コロナに対する対応があぶり出している状況、すなわち、内閣(特に首相)への権力集中や政治による私権制限にブレーキをかける力のありかや、個人のプライバシー保護と情報共有バランスについての自治体による解釈の違いや緊急事態宣言の発出にともなう営業制限に関する国と東京との意見の相違がなぜ起こるのかなど、この考察を当てはめると、妙に納得感があった。