2019年6冊目。
グローバリゼーションの影響で中間層に将来に対する恐れが広まり、トランプとサンダースを支持することは増えたことにより分断してしまい、内向きとなってしまった米国。欧州連合による影響で、国をまとめていた理念を失いかけて迷走を始めたフランス。これらにより民主主義は終わりを迎えようとしているかのような状況になっている。マルクス・ガブリエルは、このような分断を乗り越えることができるのは民主主義だけであると断じた上で、意見の違う集団同士が常に批判し合っている状態が民主主義が機能している証拠であると言う。われわれは権力者であってもなくても、自分がどちら側になるか分からないかのように行動すること、物事がどうなるか分からないことを前提とすることを行動原則にすることが重要だと主張する。民主主義は悪(良心と倫理観の欠如)を認識してただす手続きであると結論づけている。

トランプ大統領により大きな分断国家となった米国、出口の見えない黄色いベストデモに揺れるフランス、世界のどこでもいつでも起こりうるテロに対する恐怖による分断、日本では沖縄の基地問題、隣国との軋轢。世界はこれからますます悪くなるのか、それとも大きな気づきを得てターニングポイントを迎えることができるのか?