ジャック・アタリがメディアの歴史と、その未来についての考察を著した本。
 
様々な、興味深い考察と予測があり、読んでいて楽しい。子供の頃、元旦の新聞に「日本の未来予測」を特集した頁があり、それを読んでは想像力を働かせてワクワクした、そんな感を覚える。
 
自らの意思により、あるいは強制的に、自分自身をあらゆる情報源から遠ざける人たちは、進歩することなく、何かを学ぶことなく、家族や信仰する宗教がつくり出す信念から抜け出すことなく、自己中心的な生活を送る。・・・このタイプは私の周囲にはあまりいない。
 
あらゆる事象に対し、一度選んだメディアだけから情報を得続ける人たちは、自己の思い込みを強固にするだけ。強い確信を抱き、批判的な精神を失い、自分の信じることが真実だと自己に言い聞かせるために、どんな陰謀論であっても、いとも簡単に信じる。・・・このタイプには時々出会います。
 
いろいろなSNSを閲覧しながら何時間も過ごしながらも、自分は自由な精神の持ち主だと思っていても、読解力がなく、特別な関心を持たず、情報の質を求めることがなければ、SNSの罠にかかり、決まったものの見方だけを聞き入れることを自ら選択した人々の仲間になる。・・・このタイプ、これが最もハマりやすいかな。
 
多数の新聞に目を通し、いくつものラジオ局の番組を聴き、複数のテレビ局の番組を視聴し、数多くの質の高いオンライン新聞を読み、自分の信念を強固にするコンテンツだけを読んで暮らすことを良しとしない人々や、自己を顧み、友人、親類、寛容で信頼できる相手と会話し、世界に対する知識の情報源を増やし、批判的な精神を養う人々はSNSの罠にかかる心配がない。・・・ですわな。
 
「おやっ」とか、「ほんまに?」とか、「嘘やろ?」とか、「違うやろ」とか、こういう感覚を覚える情報に真摯に向き合うこと、これが大事と言うことですね。