021年読了32冊目。
前回の「Humankind」に続いて人間の本質について考えたくて手にした本。

エンパシーは、人間の光の部分でもあれば陰の部分でもある。

オバマ大統領が好んで使ったエンパシー、他者の気持ちと同じ気持ちを感じること、これはエモーショナルなエンパシーであり、他者の気持ちに飲み込まれてしまいやすくなる。結果として自分を見失しなったり、時によっては鬱状態になったりする。

作者は、これに対してコグニティ・エンパシーを唱える。これは「他者の靴を履いて」他者の考えや感情を想像する力。他者の靴を履いているという自覚を持って、相手の感情を理解するので、飲み込まれたり、混乱したりすることはない。

この混乱した社会では、エンパシー×アナキズム(あらゆる支配を拒否すること)を獲得することが必要なのではないか、という主張。

M社にいた時シカゴ本社で開かれた研修に参加した。世界各国のHR責任者が集まった研修で、人材開発がテーマだった。
その中で、5ページくらいの英語で書かれた論文を読み、ディベートするというワークがあった。
私の英語力ではとても難しい。論文を読んで内容を理解し、自分の意見をまとめるのにかなりの時間がかかった。
先に考えをまとめたある国の参加者が、私が遅いのに苛立ったのか、大きな声で非難を始めた。私を小馬鹿にする言葉での非難だった。
その時、同じチームにいたヒスパニックの女性が、穏やかな口調でその行為を止めさせ、私にウインクして、こう言った。「I’m in your shoes, Hiro-san」

そんな出来事が甦った。