2020年読了29冊目。
世界経済フォーラムそ創設者であり会長のクラウス・シュワブの本。
「ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」という副題の通り、繰り返し提起されてきた地球の問題が、新型コロナのパンデミックを経て、どのように変化するのかについて書かれている。
 
マクロのリセットとして、「経済」「社会的基盤」「地政学」「環境」「テクノロジー」のリセット。ミクロのリセットとして、「産業と企業」のリセット。
個人のリセットとして「人間らしさ」「心身の健康」「優先順位」のリセットを挙げている。
 
「パンデミックは社会を省み、考え直し、リセットするという千載一遇のチャンスを与えてくれた」という一文が著者がいちばん主張したかったこと。
人類はその活動により、何もしなければ人類を破滅させてしまうレベルに近づいていたが、非線形にこの流れを止めることは不可能に近かった。しかし、コロナのパンデミックにより、全てをリセットできる可能性がもたらされた。という、ダボス会議での参加者の嘆きを一掃するような主張です。
 
世界経済が日本化(ジャパニフィケーション)することを懸念する声があるが、それ以上に消費に関してどうあるべきかを考えるヒントになる、明るい日本化のシナリオもたくさんある。
日本の特徴はふたつあり、その二つは密接に絡み合っている。一つは、日本は豊かな国々の中でも社会格差が小さいこと。もう一つは1980年代後半に投機バブルが崩壊して以来、派手な消費の割合が世界でも突出して低いことだ。
 
日本でも中小の会社の経営状況、低所得者、失業、自殺者、などなど悪化しているが、それでもアメリカや欧米よりはマシだということ。
 
コロナによる死亡者数も桁違いに少ない。死亡率も極端に低い。
人命を優先するのか、経済を優先するのかの二者択一ではなく、両方をバランス良く優先する政策をとっていくことが重要だと思った。