Everyday BIAS by Howard J. Ross 第八章

第八章「意識することのインキュベーター・・・より意識の高い組織を創る」

組織のあちこちに存在するアンコンシャスバイアスに気づき、その影響をなるべく受けない組織を創るためのポイントを解説した章。

我々が個人として影響を受けやすい大部分のバイアスは、組織内で共有されたバイアスとなり、簡単に「われわれがここで物事を行う方法」になる。

依存して行動し、「われわれは過去にこうして行ってきた」というバイアスを「現状維持バイアス」と呼び、これは組織が最も意識すべき大きな問題である。

アンコンシャスバイアスに対して、より意識の高い組織を創るには、
1.まず、メンバーそれぞれが何をしようとしているのか、謎そうしようとしているのか、を明確にコミュニケーションすることが不可欠である。差別用語を使わないようにして、屈辱感や落胆や報復しようとする気持ちを持つ人がいないようにするのは、この一例である。
2.次に、メンバーがアンコンシャスバイアスについての理解、そのパターン、蔓延しやすい場所、バイアスがパフォーマンスに与える影響、仕事上の決定に与えるバイアスのインパクトを和らげる方法を含めた教育を行うことが重要である。
・最も重要なマインドセットシフトは、バイアスが全ての組織的決定に影響していることを理解することである。
・「バイアスが組織に影響しているかも?」と思う代わりに「バイアスがどこに痕跡を残すか」を考えるべきである。
・われわれの個人的行動システムは無意識の「素早い脳反応」に支配されているが、われわれの組織もまた規範的行動、ミーム、に支配されている。これらは長い間われわれが係わってきたことであり、その自明性から隠されてしまったのである。
・従業員調査や面接内容やフォーカスグループのデータレビューなどをマッピングしたり、顧客満足調査を精査して、人口学的特性のグループ別結果を導き出すのも一つの方法である。
・退職した従業員への匿名インタビューもひとつの方法である。
3.そして、組織のメンバー全員が、バイアスによる行動が組織が出そうとしている結果にどういう影響を与えているかをり理解することが重要である。

タレントマネジメントは、その全てのプロセスでアンコンシャスバイアスの影響を受けやすい。(付録で詳しく解説している)

集団意思決定を行う際に、問うべき八つの重要な質問がある。
1.偏見や排斥の明らかな状況がチームにないか?
2.チームが作った提案に、私欲によるバイアスが疑われるものはないか?
3.いま取り扱おうとしている状況に対して、広い範囲で可能性を探求したか?
4.チーム内に異議はなかったか?その異議は適切に調査されたか?
5.提案を作ることに異常なまでに虜になったり、驚くほど強く反対する人はいるか?
6.過去の似たような人や経験が、現在の人や状況に極度に影響している可能性はあるか?
7.ベストな決定を行うために必要な情報を全てチェックしたか?
8.あなたが使った情報は,どこから入手したものか知っているか? それは信頼できる筋なのか? 裏付けは確かか?

【意見】組織変革の仕事をするとき、ここに述べられているアンコンシャスバイスについてのマインドセットをシフトすることが必要になることがよくある。その際、この章の内容はとても参考になると思う。集団意思決定にかんする八つの質問も、経営陣へのチームコーチングを行うときの参考になる。ワークショップやコンサルティング活動を設計する際の参考としたい。

今日はこのあたりで良かろうかい。

後は「短い結論の章と付録(タレントマネジメント)